Passwordless AllianceとSecure Identity Alliance、相互提携会員関係を締結

Passwordless AllianceとSecure Identity Alliance(SIA)は、相互に提携会員(Affiliated Member)として参加することで合意しました。今回の合意は、ウ・ジョンヒョン(John Jonghyun Woo)議長がSIA会員企業の前で「Linking Identity and Passwordless X1280」を発表したことがきっかけとなりました。

SIAはベルギー・ブリュッセルに本部を置く国際非営利団体です。各国政府や身元認証関連企業が会員として参加し、「すべての人に信頼できる身元を(legal, trusted identity for all)」を目標に掲げています。SIAが開発したOSIA(Open Standards Identity API)は、2024年にITU-T X.1281(”APIs for interoperability of identity management systems”)として国際標準になりました。X.1281は、出生登録、生体情報管理、身分証発行など、異なるベンダーが構築した国家の身元管理システムを共通APIでつなぐ標準です。この標準に従うことで、政府は特定のベンダーに縛られることなく(vendor lock-inの防止)身元管理体系を構築・拡張できます。

Passwordless Allianceは、パスワードのない安全なオンラインサービスを目指しています。そのためにITU-T X.1280国際標準の開発に参加し、Passwordless X1280ソフトウェアを無料で配布しています。

両団体はITU-T SG17で標準を開発する過程で初めて出会いました。協力の目的は、身元(Identity)と認証(Authentication)という二つの軸をつなぎ、より信頼でき安全なデジタル環境をつくることにあります。

SIA会員を対象とした今回のX.1280の発表は、身元がそのまま認証につながるのではなく、「身元 > アカウント > 認証」という流れでつながるという論点で進められ、参加者はこれを通じて両分野の接点を容易に見いだすことができました。
オフラインでは身元が認証に直接つながりますが、オンラインではユーザーの身元はアカウントにつながり、アカウントは認証によって保護されます。そのため、身元管理体系がどれほど精緻でも、連携したアカウントがパスワード漏えいやフィッシングによって乗っ取られれば、その身元も信頼できなくなります。現在、多くのサービスは証明の責任をユーザーに負わせ、アカウントが乗っ取られるとユーザーの管理不足とみなします。X.1280はこの責任をユーザーではなくオンラインシステム側に移します。

プッシュ通知やSMS・OTPなどの既存の認証は、ユーザーが認証手段を持っているかどうかだけを確認します。アクセスしたサービスが本物かどうかは確認しないため、攻撃者が偽のサービスを立ち上げて本物のサービスに認証を要求すると、ユーザーはそのまま承認してしまいます。X.1280はサーバー認証とユーザー認証を一つの帯域外(Out-of-band)フローにまとめ、この攻撃を防ぎます。生体センサーはスマートフォンにあるもの一つで足りるため、センサーを追加しにくいクラウド・IoT機器や、ユーザーの代わりにサービスにアクセスするAIエージェントにも適用できます。

両団体が共に取り組もうとしている分野はモバイルデジタル身元です。パスポート(ICAO 9303)、VDS身分証(ISO 22376)、ICチップ身分証(ISO/IEC 14443)がスマートフォンのウォレットに移行するにつれ、QRコードで身元を提示する場面が増えています。しかし攻撃者が偽のQRを提示すると、ユーザーは本物のサービスと見分けるのが困難です。発表では、モバイル身分証にオンライン相互認証(X.1280)とオフライン相互認証(X.1268)を組み合わせ、身分証を提示する前に相手が本物かどうかを先に確認する構造を提案しました。

つまり、X.1281が身元管理システム間の連携を扱うのに対し、X.1280はその身元でサービスにアクセスする段階を扱います。今後、Passwordless AllianceはSIAのワーキンググループおよび会員機関との協力を広げ、二つの標準を国家のデジタル身元体系に併せて適用する方策を議論していく予定です。

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